介護福祉士de行こう

介護職の専門性や技術、あり方を日々の介護を通して考えるブログ

継続することの大切さ

うちの病院は日常で行う動作(食事、排泄、整容など)を自分で行えるようになるためにリハビリを行うところなのですが1日3時間、365日、リハビリは行われます。

リハビリは理学療法作業療法、言語療法(言語は失語や嚥下に問題なければ行わりません)があり、身体を動かす時間は1日約2時間の理学療法作業療法のリハビリで行われます。健康な私ですら毎日1時間以上の運動はしないのですが、回復期に入院すると高齢だろうが、脳卒中だろうが、骨折だろうが「リハビリ頑張りましょうね。」と言われ患者さんは動きにくい身体を動かしています。まして、病気での不自由さをおして身体を動かすことは本当にすごいと思います。

しかし、それ以上に難しいことはリハビリを頑張るモチベーションを保つことで、並大抵ではないことです。途中で諦めや落ち込み、病気に対しての葛藤など様々なことがあり、リハビリへのモチベーションが下がり、リハビリを続けられない患者さんもおられます。

そんな中で、今回私が受け持った患者さんは100日以上入院しているのですが、モチベーションが下がらないすごい方です。

入院時は1人で立つことすらもできず、体幹はグラグラで車椅子に座ることもままなりませんでした。それでも、今の自分にできることを探し、動かせる身体や手足をフルに使い、リハビリや日常の生活に取り組まれました。

どこまで回復するかは未知数なうえ、良くなるかどうかも見通しがつかない状況で動きにくい身体を動かすことはエネルギーをかなり使うと思います。四六時中、動かす意識をしていてもなかなかできることではありません。

ほとんどの患者さんは手を借りながら自分でできることをできる範囲で少しずつ回復を目指していくことが多いなか、その患者さんは時間をかけてでも「ちょっと自分でやってみますけぇ。」と常に自分のことは自分で行っていました。それだけでもすごいことなのですが、今では、小歩行器で70メートル程度まで歩けるようになりました。さらに車椅子は1人で駆動してベッドへは自分で移れるようになっています。トイレこそ介助が必要なのですが、患者さんの病状から考えれば、ここまで回復するのは本当に稀なケースでした。年齢も80代で一般的には高齢者です。それだけでも毎日、身体を動かしていくのは並大抵の事ではありません。

そんな状況下でモチベーションを保ち続ける患者さんになんでそこまで頑張れるのか聞いてみました。すると「苦労を苦労と思わず、自分のためですけぇ。」と一言、笑顔で話されました。
こんな本に出てきそうな一言って本当に頑張ってきた人じゃないとサラッと言えない……

80年、生きてきた人生の歴史に重みを感じました(涙)

苦労を苦労と思えないほど、私は頑張っていないので、返す言葉に少し詰まってしまいました。(汗)

リハビリを続けていくと本当にいろんな患者さんと出会いますが年齢に関係なく頑張っている人の姿を見ると、応援したくなります。

ですが介護福祉士として、頑張る患者さんへは自分でできることを安全に行ってもらうために、そばで見守ることがしかできません。手を貸したい気持ちを抑えて、患者さんのできることを待つということも、介護福祉士として大切なスキルだなぁと思いました。