介護福祉士de行こう

介護職の専門性や技術、あり方を日々の介護を通して考えるブログ

100通りの介護方法は存在するのか

どうもイムです!今日は介護方法はその人に合った方法で介護を行うから100人いれば100通りの介護方法があるのか考えてみました。

何か研修やセミナーのワークショップで話をしていたら時々聞こえてくるのが「その人に合った介護方法があるからこれって一概には言えないよね。」と言うフレーズ...

たしかに、その人に対して介護を行う時にちょっとした工夫やアレンジを加えることはありますが、そもそも介護技術の形は大きく変化はないのかなぁと思います。

例えば移乗の技術で考えると私は学校で習う基本の介護技術で移乗を行っています。前方介助の場合なら

 

①起き上がって座った状態のバランスが安定するようにお尻の重心や支持物を掴んで自分の支えで座れるように座りを整えます。(身体が崩れる場合は支えます。)

②立ち上がりやすくする(前傾姿勢を取る)ために拳1個分くらい前に出てもらい浅く座ります。

③介助者が患者さんの前に立ち腰回り(腸骨)の辺りに手を回ししっかりと手を組みます。

④患者さんに介助者の肩に手を回してもらい、立ち上がる声掛けとタイミングを合わせます。

⑤ゆっくりと爪先に重心がかかる様に介助者の方へ身体を引き込みます。(患者さんの目線が2~3歩先の床を見るように)

⑥爪先に重心がかかるとお尻が浮くので、そのまま立ち上がります。

 

細かいことを言えば、この他にも言葉がけのタイミングや介助者の立ち位置、歩幅などがあり、患者さんにも自分でできる部分は協力してもらいます。ですが、どの患者さんにも方法は基本的な移乗の技術で行います。

私が思うに100通りの介助方法を作らなくても基本をしっかりとおさえて、どこまで徹底して基本の形で行えるかの方が大切だと思います。基本ができていないのに形を崩した介助方法で行ってしまうと余計な力が入って患者さんの動きの妨げになったり、自身の身体にも余計な負担がかかってしまいます。大切なのは座位や立位、踏みかえなど身体の動きの仕組みを知ること、患者さんのできない部分を介助者が協力して動作を再現することではないかなと思います。

介護福祉士の行う介助はただ移ることを手伝うのではなく、患者さんのできない動作に介助を行い再現する。患者さんのできることを知り、動作に参加できるように意図的に関わること。

例えばバランスを崩してしまうが足の踏みかえができるなら介助者が身体を支え踏みかえを行ってもらうこと、支持物を掴むために手を伸ばすことができるのなら掴みやすい位置へ移動するなど、少し手伝うことで患者さんのできることを引き出せることが大切です。これが自立支援を目的とした介護福祉士ならではの移乗になると思います。

最近ではいろいろな本にたくさんの介助方法が載っています。様々の目的のもとに介助方法が作られています。まずは身体の動きの仕組みを理解したうえで介助方法を考えていくと、どの患者さんにも応用が利く、自分の介護技術ができるかもしれません。

こんなところで...今日も1日頑張っていきましょう!!

深い洞察力

どうも!!イムです。

昨日は言葉がけについて記事を書かせてもらいましたが患者さんとやり取りを行うコミュニケーションには言葉ってホントに大切だなって思いました。

非言語コミュニケーションのジャスチャーも伝える手段としては有効とありますが、そもそも表現力の乏しい私はジェスチャーが下手すぎることに気づきました。

今日は外国人の患者さんと言葉が通じない、言ってることがほぼ分からない状況で苦労したエピソードを書いてみたいと思います。

この外国人はリハビリのために入院しているのですが日本語は「ありがとう。」と「だいじょうぶ。」しか話せません。後は全て英語なのでこれをやられると、「うんうん」とただ聞くしかありません。コールは押せるのでこの外国人のコールが鳴ると緊張が走ります。この日は夕方に呼ばれて私は部屋に訪室したんですがベッドに座っている外国人はいつもと様子が違います。ベッドに座ってズボンのウエストや裾をごそごそしています。私は「と、と、といれっと?」と聞くと車椅子へ移る仕草が見られたので介助しました。

トイレで用をすますとズボンを再びごそごそし始めました。トイレの出入り口で突然「¢£%#&□△◆■!?」と英語で何か話し車いすを足で止めました。全く分からないのでスタッフルームまで行き助けを求めました。(誰一人英語はほぼ分かりませんが...)何かを一生懸命伝えるのですがただひたすら聞くしかない私たち...

その時、外国人が指さしたものは看護師さんが持っているハサミを指さしました。「まずい...」と一瞬不安がよぎりましたが看護師さんは「これ?ハサミ?ダメですよ。」とジェスチャーしました。するとピースサインを作りズボンのウエストにハサミを入れるジェスチャーをしました。「き、き、切るの?かっと?」と私が言うと「YES」と返事をされました。「むり、のーかっと...あたらしい...にゅう。」と伝えると英語で「¢£%#&□△◆■!¢£%#&□△◆■!?」と切に話しました。

その時、ニュアンスで感じたのは「俺のズボンなんだから、何をどうこうしようがいいじゃないか。」という感じでした。「ぼとむ、かっと、れありー。」と今まで習った単語をフル活用して伝えると「YES」と私の顔を見つめます。「ほんとにいいの?後から何も言わないでよ。」と思いつつジョキ、ジョキ、とウエストと両裾に切れ目を入れました。」どうしよ...と思いつつ周りを見回すと、みんなどこかへ行って私一人でした(涙)切れ目を入れると

 

「Oh~」

     

満足した顔で私へ自室へ戻ると伝え戻っていきました。

 

言葉ってホント大切なんだな...伝わえるって大変なんだなと、しみじみベッドに移る外国人を見守りしながら感じました。

これ、認知症失語症の人たちの世界もこんな感じなのかなと思い、しっかり聞くこと、やり取りできる力をつけることの大切さを感じました。

 

言葉がけのスキル

どうもイムです!

今日は言葉がけについて書いてみたいと思います。

皆さんは言葉がけ(声掛け)を行う時に気をつけていることはありますか?

私はできるだけゆっくり、短く伝えることを意識して言葉がけを行うようにしています。何故かというと加齢をはじめ、脳卒中認知症の影響で理解のスピードが遅くなっることや言っている事の意味が分からなくなってしまうので「で...何だったっけ?」となってしまうことや「そうそう。」「うんうん。」と聞くことについていけず、聞き流されてしまうことが私の経験上、多くあったからです。

もちろん今もありますので、話していると「分かってくれてるのかな?」「後でもう一度、同じことを聞かれるだろうな。」と相手の???とハテナが浮かんいることはよくあることです。

では、これらを解決するために言葉がけに役立つポイントを簡単にまとると

 

①これから何をするのかを言う

②なんでするのか明らかにする

③それをやるとどうなるのか見通しを伝える

 

この辺がポイントになります。これは介護福祉士初任者のための実践ガイドブックに掲載されている内容で初任者の研修を受けた時に「なるほどなぁ」と感じました。

特に②のなんでするのか明らかにするは、そういえば伝えてないことがよくあるなぁと思います。

例えば食後に患者さんが食堂から一斉に自室へ戻る時なんかは、てんやわんやで「トイレ行きます?」と言いつつも、すでに車いすは半分トイレへ入っていることがよくありました(汗)尿意があればトイレへ行くことに同意は得られるのでしょうけど、尿意のない場合にはなんでトイレへ連れていかれたか「???」となるなと思います。

ごくごく当たり前のことなんですけど排尿間隔が空いている事や過去の排泄チェックから出やすい時間を伝えると「ああそうなの?じゃあ行ってみるかな?」と何となくでも自分で行く意識付けを高めていけることにつながると思います。もちろん、そんなことしなくても「この時間に座ればでるんじゃけ。」とトイレへ座らせればトイレはすませられるのでしょうけど、ここがプロと一般の人との違いを見せる差ではないのかなぁと思います。

他の例で考えると移乗の時でも応用できると思います。「はい、移りますよ。ここもって。」と言って患者さんの手をとって支持物を掴ませて立ってもらうのか、「今からベッドに移るからここを掴むと立ちやすいですよ。」と立ってもらうのか、結果は同じ移乗ですが、やらされた感はずいぶん違うと思います。

ちょっとしたことで相手に与える印象も変わるので言葉がけはスキルかなと思います。お試しあれ!!今日も頑張っていきましょう!!

続・介護福祉士の専門性

どうも、イムです! 昨日に引き続き介護福祉士の専門性について書いてみたいと思います。

 

介護福祉士の専門性の一つとして昨日は「主体的に生活できる援助」について書いて、やっぱり全ての患者さんには無理だけど、できる限り範囲でやれることをやってみようと記事を書いた自分が決意させられました・・・・

 

介護福祉士の定義にある「専門的知識、技術をもって...心身の応じた介護を行う」とあります。(だいぶはしょりましたが...)

ここで外せないなぁと感じところは「尊厳や意思決定を尊重する」ことではないでしょうか?

どんなにその人に合った介護技術があったとしても、人として見ていない言葉や行為、患者さんの意思が重んじられていないのであれば、私は専門職としての価値は、とてつもなく低いものであると思います。きれいごとかもしれませんがここは介護福祉士としてきれいなままで残して、追求すべきことと思います。

もちろん私もイライラする時もありますし、我慢しきれない言葉や暴力を受けたこともあります。

けど、そこから上手く介護できるのが専門性だと考えます。我慢しなさいという意味ではなく、怒りが爆発する前に自分でセルフコントロールする方法を身につけること、同じ現場の介護福祉士の仲間と協力し合うなど、試行錯誤して、その患者さんを一個人として接していくことが大切と思います。

寄り添うって良いも悪いも上手く伝えて相手を理解できるように努めることで、ただ言いなりになることや頭ごなしに押さえつけることでその人の価値をないがしろにすることではないと思いますし、介護福祉士は絶対に守るべきことと思います。

なんか...勢いついてる感じになっていしまいましたが(汗)

 

介護福祉士は福祉職として思いを引き出し気持ちの充足や思いを実現する援助が大切です。患者さんにも自宅や仕事、趣味活動などの場で相応の居場所や役割などの歴史があって様々な思いや経験があって今があります。

介護福祉士は生きてきた背景を知り日々の関わりを通して「今日はどうなのか?」「いつもと変わらないか。」と小さな変化も見逃さない観察力が大切と思います。

また、日常の中でたくさんのことを決断する。意思決定の機会が多くあります。

今日、着る服からトイレへ行くかどうかなど、私たちが介助する事で決定する機会が失われていないか、言葉の掛け方やタイミングにもっと気を使っていくべきだと思います。「~してみませんか?」、「○○はどうでしょうかと?」自分で決める言葉がけを追求していくことが大切です。

 

24時間の生活を支える職業として一筋縄ではいかないことではありますが介護福祉士の専門性として「尊厳や意思決定を尊重する」ことがもっと確立されればなぁと思います。

今日もお付き合いありがとうございました。イムでした。

介護福祉士の専門性

おはようございます。イムです。

 

今日は介護福祉士の専門性について書いてみたいと思います。

皆さんは介護福祉士の専門性って何だろう?と考えてみたことはありますか?

 

私は初めて職場へ配属になった時に感じたことは自分の職業は誰でもできる、何か雑務をこなす仕事なのかなぁと専門職と言われているのに何をどうすれば専門職なのか不満を感じていました。

それは何故かと言うと他の職業は自分の専門分野で業務を独占してしていて介護福祉士は誰でもできる仕事をしているからでした。この誰でもできる仕事と感じているのは今も変わらず、この誰でもできる仕事から一歩前に出る為には専門職として独自の視点をいかに強く出していくことが大切ではないのかなぁと考えています。

 

国に定められた社会福祉士及び介護福祉士

(定義)
第二条
2 この法律において「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、 身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、 医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を 行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
                    

介護福祉士の方なら一度は目に触れられたことはあると思いますが私はこの定義をもとに介護福祉士ならではの視点に結びつけるのであれば、「主体的に生活できる支援を行う」ではないのかなぁと思います。

 

主体的、「自分で、考えて、判断して行動する。」これを手伝えるように普段の様子や今までの生活を知って、どんなことを今しようとしているのかを洞察できるようになれば最高だなぁと思います。

 

例えば、麻痺の為に食べこぼしがある患者さんに対して一口でも自分が食べる意欲があればエプロンや食べやすい食器を使うことや介助者がそっと腕を支えて食べやすいように援助すること。

 

これを目指して自分たちの環境をどう変えていけばいいのか・・・・文章を書きながら改めて考えさせられます。そこまで時間をかけられないことや全ての方にこれを実践するのは絶対に無理なのは分かっているのですが、食事の時に車いすのフットサポートから足を下ろして姿勢を整える。少しだけ自分で食べてもらう為に食器や食べ方、配置など当たり前と言われるようなことに私たち自身が介護に余裕を持って実践できれば完璧に主体性を引き出すことは難しいにしても介護福祉士の専門性ある行動につながっていくのではないかなぁと思います。

 

理想と現実のギャップは大きいですが今日も少しだけ前向きに介護できたらいいな。

 

介護福祉士のイムがブログをはじめます・・・

はじめまして。イムと申します。

 

私は介護福祉士として回復期の病院へ勤務しています。回復期というのは脳卒中などで障害を持った患者さんをリハビリをして家に帰していくことが主な目的です。

 

病院には医師や看護師、理学療法士など、たくさんの職種でチームを組み患者さんへ関わります。たくさんの職種がいるのでいろんな考えや技術を学んできました。

 

今年で17年目を迎え介護福祉士として、患者さんの生活を支援していくと、どうすればもっと力を引き出せるのか、もっと望んでいることを実現できないかとか、いろいろ考えます。もちろんすべては叶えることはできないので限られた空間や時間で何か一つでもできることはないかと取り組むしかありません。それでも患者さんから「ありがとう。」と一言もらえたり「ちょっとだけやってみようか。」と前向きに自分の生活に取り組んでもらえた時は介護の良さや仕事としてのやりがいを感じます。

 

けど、この介護の良さや仕事としてやりがいを感じるのは患者さんから「ありがとう。」と言ってもらえることだけなのかと考えると、そうではなくて患者さんの為に学んできた介護技術やコミュニケーションスキルを駆使して実践したからではないかと思います。もっと患者さんを楽にベッドへ移ってもらいたい、私も、もっと楽にベッドへ移る技術を身につけたいと少しでも良い方法を考えたり、セミナーなどで学んできたから患者さんへ「ありがとう。」と言われた時にやってよかったと感じると思います。なので、

 

これから、このブログで「なんか、この介護のやり方いいかも。」とか「このやり方、まねしてみようかな。」と言ってもらえることを皆さんへ伝えていけたらいいなぁと思います。